第三話 野心の義足 前編

 1904年、ここ欧州は地獄の先端を開いていたまだ確かなことはつかんでいないが

オープンソースに当たる新聞によれば大国ヘクサォの東方に向けた土地の権利とヘクサォ人の安全の主張をしこのフェルキア土地の割譲を要求してきたフェルキア元首以下首脳部はその要求を拒否。


「我々は貴様らのパイケーキではない、そう簡単に切り分けられてたまるか!」


そういって跳ね返したとか、そうして先端が開かれたのが半年前新聞は規制が入り詳しく書かれることがどんどんなくなっていき3ヶ月前俺、『トロイ・リューグナー』が挙げた功績がでかでかと載っていた…。


つまりはそういうことだ拮抗しているとか、善戦しているとかかいているがほぼ負け戦なのだそれでもこの国境に一番近い街が襲われないで済んでいるのはまさに奇跡なんだろうなきっと地理的にみてあぜ道がばかりなのと恐ろしく鬱蒼とした森である。

開戦時期が冬って事もあったのか侵攻側も足が遅いのも理由の一つだろう…

まぁ俺自身マスコットを演じなければならないためあまり上の人間にうるさく言えないだが現状を口外されたくないっていうのが丸わかりだからな

だがこのままでは体裁を気にしてるうちに切り分けられるどころか、無作法に手づかみで食べられるぞこのケーキ(国)は…


と考えているうちに一ヶ月が無常に経過してしまった今に至っては喋ることもなくなり俺も価値がなくなったらしく時間と給金だけが与えられていた有り難いといえば、あり難いんだが…何も出来ないこの状況で時間だけあってもコレなら、クレマンが言ったように前線に送ってもらったほうがどれだけましか、全く…


それと、この国の前線指揮官の怠慢っぷりが目に付いているのが余計に俺をいらだたせている戦争が起きているというのに、物資の運搬面で改善も何もしないどころか

どうも、それらをちょろまかして[私財]にまわしてるとかなんとかそんなことする奴は[死罪]に問われても仕方がない…なんて駄洒落!やっぱ、今の俺がオヤヂだからか…まぁそんなことはさおいといて


今俺は余暇を利用して都市内を色々散策している最中だったりする元々は地方都市で寂れていた所だったが現在は戦争状態に入りここが防衛線の後方基地も兼ねている防衛線築いてはいるが、どこか他人事のようにも取れる国境付近といっても更に戦場は遠いし情報統制のせいもあるんだろうな


「全く…」


最近の口癖だ、やむを得ないとは言えそう思うし口にも出る一応の要塞化、前線基地の配置見かける歩哨、一応の体裁だけはあるが戦争してるのにどこか牧歌的だ


今国境で戦ってる兵士は後方に戻されたりしたら国民の目の届かないところに仕舞われてると聞いたなあとは戦死者の過少報告もあるとか実際どれだけの人的資源が喪失したか帳尻あわせ四手ないからなんとも言えんがここらの黒い噂が本当なら俺はいっそどこかに亡命した方が将来の為かも知れんな…


「少尉さーん!」


そんなネガティブなこと考えていると聴きなれた声がするクレマン君だ


「やぁ、今回は読書はしないから会わないと思っていたが」


つい意地悪かなとも思える本音を言ってしまったが


「私、別に少尉さん読書の付き合いであそこにいるわけじゃないんですよ」


ちょっと思いがけない返答が帰ってきた…まぁ今の俺は元の外見は忘れたが、強面とはいえなかなか男前だからなそれに一応生活力もあるし女から見れば魅力的なのかも知れん…か


「悪かったよ、それ今日はどうしたんだい?クレマン君?」


そう話題を変える様に用を尋ねてみる帰ってきた返答は、「天気が良い日に少尉さんを見かけたから」だった、へぇーコレって一つ間違えたらデートになるもんかね?だが俺としてはこんな顔の男が一人でうろついているより女性と歩いてるほうが好都合だ見てくれが緩和されるし何より警戒心が減るだろうしただ…


「すまない、今日は私服だし、その少尉さんってのは止めて欲しいんだが、出来ればすまないが」


むやみに階級で呼ばれるのは避けたいものだ場所によっちゃ軍人を嫌ってる所もあると聞くしな


「うーん、どうしようかな?…今日はいつもの場所じゃないし…」


あのゲームのような挨拶の話を思い起こして思案してるようだな


「どうだろう?タダとはいわないよ、昼食をおごらせてくれないか?」


ここはすかさず提案を出してみる


「少尉さん!私をそんな安く見ないで下さい!」


そういうと少しむくれて怒った様に俺の提案に意見するじゃ…どうすればいいんだ…


「ふふっ、私はお安くないから、ディナーも付けてくれたらOKです」


俺の困った顔をみていたずらっぽく笑って見せた今の俺には恐らくない感情ともいえる恋慕になにか引っかかるものがあったが、まぁ俺的には俺の乗ってる車格好良いって言ってくるのに勘違いしてそう思ったと受け流しておこう


「わかったよ、それでてを打つよクレマン君」


そうして一日彼女と共に街を散策できるようになったやはり女性が一緒だとどこかみな俺一人のときより警戒心が薄いきがするし、何よりこのクレマンという女性の笑顔だこういう朗らかな女性が一人いるとこうも道を歩くだけあたりを明るくするもんだと感心してしまう


「リューグナー…さん、何処かいきたいところがあるんですか?」


言い慣れない呼び名に少し戸惑いながら彼女が俺に話しかけてきた


「ひとまず、中心のほうににぎやかな所…というか」


いかんな、講演会とカフェーで読書と官舎で勉強ばっかりだったからどこがいいか、全く思いつかんな…


「うーんわかりました!」


何が?


「私のお任せコースで色々回ってみましょうか!」


なるほど、そういうこともあるのか、実にありがたいそこから、俺はクレマンのお任せ案内によって都市内限定ではしっている『電車』に乗って市場や人気の多い所を見て回ったそこで見たのは歩哨の兵隊がところどころに目に映ってくるが穏やかな風景そのものだった


「あれは移動サーカスですよ、昨日から来てるんです!」


「それでこっちは、服屋さんにあっちは帽子屋さん」


「やっぱ…」


一生懸命説明してくれているクレマン君には悪いがその景色を見ながらあることを考えてしまった


市場の流通はまだ問題なく機能しているそれなのに、前線への物資の流通の細さはなんなのだ?と簡単な話で大規模な輸送の為の列車があるのだが俺が後方に送られたあとに襲撃を受けたらしく線路が使い物にならなくなったらしい

補給線を叩くのが当たり前なので他の方法を確立してない補給部隊の連中にも問題はあるが立地的なものもある


これは皮肉なことに防衛の砦としても機能しているのだが前線からこの街までにあるアルプトラオムの森とばれる手付かずの原生林があり何とか開拓した路線といくつかの道しか使えないでいるのだ


敵の侵攻を抑えてられるのもこの森のおかげあるが決まった通路を守って攻めてといった具合の為こう着状態となっている、だがこっちとしては補給線がどうしても細くなりいずれは…と言う状況だ


当面はこの補給を何とかするというのが最優先事項なんだが線路の補修は完全に罠に入るようなものだし絶対狙われるだろう、だからといって新たに線路を作るとして

前線まで呑気作っていってたら砲弾で工兵が皆殺しにあうな上もそこらはわかっているらしく現状は原始的だが馬や馬車を使っている車両と言うのもあるんだが一度それでいって車両が使い物にならなくなったらしい


確実なのは今のところ馬と言うことだそうだが前線兵士は正確な人数はもうわからんがそれでも2万ぐらいはいたはずだ何せそこが防衛の要だからな


技術省だったが、飛行船や気球で届けるって案も出していたが相手が飛行機を出してきたあたりでぽしゃったっけかここまでは航続距離が足らないおかげで来てないが

向こうの前線基地がもっと近くなったらこの街はもえるだろうな…


「…ちょっと!聞いてます!!」


はっと声の向いた方に目をやるとクレマン君が怒った顔をしてこっちを睨み付けていたまずいな…全然聞いてない…


「…もちろん聞いてたさ!」


この人怒ると超説教が長いんだよな、ここはなんとか乗り切りたいはったりで…


「フーン…」


滅茶苦茶疑ってみてる…まぁ当然かこっちも向こうを知ってるってことは向こうもこっちを知ってるって事だもんな


「じゃ、私が何を見てっていったかちゃんと聞いてましたよね」


え?うーん何を珍しいもの?いや俺に見せたいもの?そう思案していると不思議な光景目に付いた空中に浮いた板があってその上に周りにいたお客を乗せているのだ一人二人ならサクラかもしれないが結構みんな乗ってくるし、手品を疑った捻くれ者が蹴ったりしてるまるでびくともしてない


「何だあの板…」


つい言葉を漏らしてしまう


「なーんだ、ちゃんと聞いてたんだ」


どうやらあたりだったらしい


「あれ凄いですよね、どうやって浮いてるんだろうってちょっと!」


俺は好奇心のままにその出しもののところまで来てしまったそこには、双子なのだろう同じ顔をした少女がその出しもので客から御ひねりをもらっていた


「凄いな、これどういうトリックなんだい?」


手品師に聞いても答えてくれるはずのない問いをついついしてしまった、がその双子の一人がうんざりした顔で俺に突っかかるように怒鳴りつけてきた


「コレはね、おじさんトリックでも手品でもなく魔法っての!」


俺はその言葉に一瞬運命を感じた他の人間はその言葉のたびに笑っていたり、はいはいって反応をしていたがこの言葉に俺だけは運命を感じずにはいられなかった…

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