第四話 野望の義足 後編
現在は17:30…少し軍人っぽくいってみたがもう少しで夕食といった所だ
クレマンはどうしても、男性と入りたい店があったといい俺を結構値の張る店に引き込む…確かに安い女ではないな…全く
自然と嫌悪感のない“全く”が出たなまぁそれは良いとして普段は食べることなんて無い豪華な夕飯でも食べに行きますか
食事レポートなんて俺的には無いからさっと纏めると美味しかった…階級的に言えば佐官から将官が食うもんじゃないかな?なんてこと考えていると彼女の食事姿が目に付いた何だかんだ普段あってる場所がカフェーだからか食事も軽食でナイフとフォークを使う場面なんて見る機会が無かったが綺麗に食べるもんだ…これぞ教養ある女性って感じだな
だがそれも、ワインが毒が回る前までで毒が回ればタダの酔っ払いになっていた
俺の体は酒をどんどん受け入れるが彼女は無理をしてるのかなれない酒を飲んでる感じにも見えた
「少し早いがもう出ようか」
何か必死になって飲んでるように見えたのでつい止めてしまった…高い酒だから飲みためておこうとか思ったのか?彼女はといえば酔いが回ってるのか少しボーっとしながら、俺の言葉に返事し席を立ってくれた
もっと粘ると思ったが案外素直だな…それでは、存外一人で歩けそうなので彼女には少々酷だが礼を言って早々と引きあがってもらおうあの双子に少し話を聞きたいからな
「それじゃ、次はですね…」
俺の思案を他所に次の店に行こうとしてるよこの人
「すまないが…今日はこの辺で…」
そういうとエライ殺気の篭った目でこちらを見てくるどうもこの人の考えていることがよくわからんディナーとやらが17:30あたりから始めてもう19:00だあの双子ももしかたらいないかも知れんが…
「すまない!君はここの地理に慣れてるだろう!」
俺はそういって走ってその場を去ることにした義足だがここはほれ、骨肉隆々トロイ・リューグナー義足の付け根部分の痛みを我慢すればヒールを履いたクレマンには負けたりしないのだ
遠くから俺を罵る声が聞こえるが女と舌戦で勝てる気がしないし、戦術的撤退はやむを得ないのだったでもまたあのカフェーで会うんだろうなぁと思うと次に会うときにはプレゼントでも買ってご機嫌を取っとかないとな
数分後、クレマン女史は完全に見えなくなり俺は肩で息をしながら先ほど見世物で魔法とやらを披露していた双子がいた広場に戻ってきたあの双子は…見当たらないか…
コレじゃクレマンさんの怒りを買っただけの骨折り損ってところか…
「このガキ何しやがる!!」
どこからともなく大人の怒号が聞こえる注意を払い発生源を探るどうやらここからそんな遠くないようだ声のするほうに向うと
どうにも柄が悪い三人組がいるその向こう側に例の双子だ子ども相手に何をやってるんだと思ったらどうもショバ代関係で揉めているらしいいわゆる金銭トラブルだ
「うーむ、どうするべきか…」
「少尉さんはどうしたいの?」
え?
「うわぁぁぁ!」
後ろにいた!後ろにいた!!引き離したはずのクレマンが!
「だってどこに行くかぐらい見当ついてたんだもん…それでさ…私をレストランの前に捨てて、その上あの子供もこのまま見捨てるんじゃないでしょうね?」
酔って目が据わってるが、ごもっともだ
「どうせ、さっきの声で気がつかれただろうし行ってくるよ」
覚悟を決めてそう伝えるとクレマン女史の据わった目に殺気が帯びていき
「何でもかんでも私の所為にしないでさっさと行って来なさい!!」
怒鳴り、俺のお尻の割れ目に鋭いつま先を食い込ませてきた声にならない声をあげつつ、俺は三人の男たちのところまで詰め寄る男達はというと、軽く悶絶しながら近寄ってくる
骨肉隆々の俺に驚きつつ、不思議な物を見る顔でこっちを観察していた俺としては暴力は苦手なので出来れば振るいたくないただ、彼らもこんな筋肉のお化けと喧嘩なんかしたくないだろうそこを狙い目に交渉していこう
「そこの悪者三人組!覚悟しなさいこの正義の筋肉ゴリラ様はあんたらなんかぼろ雑巾に出来るぐらい強いんだぞ!!」
クレマーン!!何やってるんだあの女!!!何であんな安全そうな距離から煽ってるんだよ仕方ないか…
「後ろの女の言ってる事は置いといて穏便に済ませられないなら…私がが相手になるがどうする?」
三人は笑っている、まぁ当然っちゃあ当然か彼らの方から俺を逃がさないように囲む
左右と前方に男たちが陣取り俺に殴りかかってくる
俺自身はけんかに慣れてないが体のほうはしっかり喧嘩慣れしているのだ同時に俺に襲い掛かってくるがそれに対し俺は半歩下がった上に状態をそらす
そうすると、三人が全員俺の目の前に揃う足は使え何ので、両手を拳に左右にいる2人に一発ずつ、あご先を狙う感じで打ち込む
すると少し声をあげ男たちはふらつきひざを突く戦力がいきなり3対1から1対1になったんだ多少なりとも動揺しているのが、俺でもわかった
その隙を逃さず大きく踏み込み大きな一発を食らわせてやろうそう思い拳を振るったそのとき尻の穴以外ダメージは受けていないなのに足がガクッと力なく崩れる足元を見るとその理由がわかった義足が壊れていたのだ…またクレマンかさっさと片付けたいのにそれも叶わず俺も崩れ落ちる
「へっ義足かよ…びっくりさせんじゃねー!!」
そう怒鳴り体勢が崩れた俺の腹をシンプルに蹴り上げてくるさっき食べたディナーが胃から食道を通って口向ってくる吐き出したかったが、それも気に入らなかった為飲み込むそして悶絶していると思ったのか、男は同じ攻撃を仕掛けてきた
流石に二度目は受けまいと右腕で相手の蹴りを防ぎ左腕は下からふくらはぎ、太ももの内側と手を伸ばし太もも部分のズボンをしっかり握り締めて自身の体を捻って相手に押し倒した
すると男は右側に引っ張られながら倒される形になるので残った左足ではバランスが取れず転ぶそうするとどうなるか
俺はすかさず仰向けに倒れた男の腹の上に乗っかり右拳を思いっきり握り締め振り上げたその時だ
「もう止めて!!」
俺の拳を止めたのは目の前にいる双子だった喧嘩を見るのは初めてかなれてなかったのか今まで絶句していた2人が揃って声をあげたのだ
「だとさ、今日はこの辺で帰ったらどうだい?」
状況は極めて不利ともいいがたいが足が一本使えない状態でこれ以上はきついかもしれないなので、余裕があるふりをして相手の出方を伺う
「クソったれめ」
そういうと、男は目を覚ました2人に手を引けって合図を出す俺もそれを見て男からどき、三人は何もいわず去っていく
「ふー…」
緊張の糸が切れ、座ってはいるんだが気持ちがへたり込んでしまうクレマン…あの女の所為で苦労させられたそう思い一言、言ってやろう彼女の居る方向に目をやるともうそこには彼女の姿はなかった
「…あの…女…」
まぁ気を取り直して双子に声をかけることにした最初はぎこちないやり取りから始まりどうも田舎から首都まで向うらしくここで一泊して明日の列車に乗っていく計画だったようだ
ただ手元にあるのは列車分のお金だけで大道芸まがいのことをやって宿泊費を稼ごうとしていたらさっきのは別のゴロツキにショバ代と称しあらかた巻き上げられそしてさっきの連中にも巻き上げられそうになって立って話だ
さりげなくというか、気になり宿のことを聞く返答は野宿だった、まぁ金がない以上仕方がないが正直子どもだけで野宿は危険だと言うことで一つ提案をしてみる事にした
「流石に子どもだけで野宿は危険だろう、なんだったら私の部屋に泊まれば良い、一泊だけなら宿を貸すぞ」
そういうと双子の内片方羽目を輝かせもう片方は警戒心を強くしたこの警戒心が強いほうがお姉ちゃんだなこのご時勢だそれぐらい警戒心が無いと妹も守れない…
「いいんですか!?やったね!!」
「お姉ちゃんは黙ってて!」
…妹の方だったかうーむ…まぁ双子だしどっちが早いか遅いかも数時間単位だろうし
誤差だな!誤差!
「まぁ、そういう風になるのは当たり前か、言っても信じないだろうがとりあえず自己紹介を私はトロイ・リューグナー少尉だ、今は後方に飛ばされてね、まぁ…その…」
まずいなこの自己紹介、だからなんだって雰囲気になってきてないか?いつもなら軍服着てるから結構信じてもらえそうなんだけど今回は完全に裏目に出てるよコレ、
私服だもんなぁ…どうしようん?なんか双子がこっちを見つめているそしてなんかひそひそ話してる
「本当に本物のトロイ・リューグナー!?お姉ちゃん写真写真!」
「はいはい!、えーとあった!」
そんなやり取りをしていると薄暗がりなか懐から取り出した新聞の切り抜きを俺の方に向け比べているどうやらこの子達は俺を知っているようだ
「写真がちっさいからよくわかんないぞ…」
「でも本人はそうだって言ってるよ?」
「大人はへーキで嘘吐けるんだよお姉ちゃん」
「でもぉ…」
どうも2人で一人っぽいなこの双子は善と悪とは違うが肯定と否定の考えが片方ずつにいった感じだった困らせるのも悪いか…だが危険なのは確かだなので現金を彼女たちの前に出した
「まぁ確かにこんなおじさんのことを信用しろと言うのが無茶だったなコレで宿を取るといい、せめて野宿だけはおよしなさい」
そういってしっかり者の妹の手にお金を置くと何とか立ち上がってその場を去ることにしただが義足が完全に壊れていてケンケンで帰る羽目になった格好悪いなぁ…そう思いながらケンケンしていると義足側のほうからさっきの双子の片割れが顔を出した
「私達助けられて、恩を感じないような不躾者じゃないわ」
妹の方だなこの物言いは
「だから、あなたの顔を立ててあげる!!」
その顔は少し赤らんでいるようにも見えたが、まぁ知らん振りだな
「全く、素直にゴメンって言わなきゃ駄目なのに、この子は…ごめんなさいリューグナーさん、天邪鬼な子ので」
反対側からも同じ顔が出てくる、こっちは姉の方か
「いやこっちこそ、女の子にこんな真似させてしまって」
義足代わりに姉妹に支えてもらってる形になっているそうして、我々三人は何とか軍の官舎へと帰ってくることが出来た
官舎…といっても自室代わりにあてがわられたアパートでまぁ実際はしけた物だ
だが、変にかしこまった所だとこんな感じで子どもを連れ帰ったりは出来なかっただろうし、結果オーライだな
双子の反応はと言うとなんか思ってたのと違うって雰囲気だまぁそうだろうな、道すがら聞いたらどうもここに一泊する理由に俺に会うだったからだ新聞で大きく扱われていたし、有名人に会えたらって感じだったがその英雄が質素な生活してるからまぁそうもなるわな
「質素で悪いがせいぜい今夜だけだ、勘弁してくれ」
何か言われる前に釘さすように先制一言言っておいた姉のほうはそんなことないですよと身振り手振りで釈明をする妹のほうはといえば、意外に嫌がった様子はなかった
どうも俺の気の回しすぎだったか一応シャワーを使ったらいいと勧め、バスタオルを渡し私はコーヒーを淹れ本を読むことにした
30分も経った頃、双子はシャワーからようやく上がってきた着替えを済ませ、私のところに妹の方が来る喋らなくても顔を見ればよくわかる、あと何を要求しているかも
「残り物で悪いがシチューとパンがある、空腹であるなら食べれるだろう」
そういってキッチンの方に目配せをする
「それはありがたいけど、今日あったばっかの私たちに親切なんかして、何か企んでるんじゃないの?」
鋭いな、だが見当違いをしてるともいえるな…
「なるほどな、では腹を割って話そうか…」
お膳縦に近いものはした、相手は子ども故に少し甘く観ていた節があったのは確かだな…そう思い、2人をキッチンに来るよう促し2人と対面する形で俺も席に着く、そして淡々と話すことにした
「簡単に言えば、君たちのその魔法かそれに興味があったのだ本来であればもう少し、公の場で警戒させない段取りをふめば…良かったんだろうが、そこは無用な心配をさせてしまって申し訳ない」
その真相に双子は思慮の外だったらしく、意外だと顔に出ている一体なにを想像していたのやら
「先も言ったように私は軍人だ…」
さてどうしたものだ…率直に言いたいものだが正直今の権限では何を言っても動くはずがないただ、知っておけば何かしらの、そう何かしらの材料になる今はまだその段階だけに、下手な言い方も出来んわな
「いいわよ、そのくらい」
俺の言葉を遮るように切り出したのは妹の方だ
「言ったでしょう?私達、恩に対して感謝をしないような
不躾者じゃないってただ…」
ただ?
「彼方が知りたがってることって多分難しいことだと思うのよねこの部屋見たら、いっぱい本があったから」
ところ狭しと並べられている図書館から借りてる本や、購入した古書歴史書の類だ、姉妹そろってその雀の涙ほどの蔵書を眺めながら妹の言葉を姉が続ける
「よかったら、私達と一緒にお兄…兄にあって見ませんか?」
兄?あぁこの姉妹のたびの目的は兄妹に会いに行くことだったか
「お兄さんは君たちより詳しいってことかい?」
「そうその上、軍人でえーっと偉い地位のひとで魔法の研究もしてるんだって」
「そうか…なるほど」
顔には出さなかったが、こいつは驚いたあの時感じたものはてっきり俺の考えてたことの立証程度のものだと思ってたがどこまで偉いかはわからないが、少なからず…少なからずこの鬱屈した現状を動かせる…
いや、野心に対し歩める義足を手にすることが出来ると機会を得れるそういうことか…
「いや失礼、君たちの兄上に会わせて頂けれるのであれば有難い」
「私はゾフィー、お姉ちゃんはスザンナ」
え?
「貴方の方だけ自己紹介して私達はまだだったでしょう?」
あぁそうだったな、自分のことばっかりで2人のことに気が回ってなかった
「よろしく、スザンナ、ゾフィー」
長い一日がおわった、明日か…コレが吉と出るか凶と出るか…
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