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ここまでが主観でここからが第三者視点の物語になる

最初は一人称の小説という流れであったんだけど、戦争をするとなると、敵国の心情とも書かないとなぁとか思い、ここからは第三者視点の書き方にしようと思った次第である。 何というかあれだ、本当行き当たりばったりが過ぎるものだと思う次第だ。 今回のアップはここまでで、戦争編、戦後編、旅行編の三回に区切ってまとめてアップしていこうと思う次第である、ほな!

第十八話  Flying “Chariot” doctrine

 軍の礼服を着込んだ俺とめかし込んだ双子のエレーナは 件のオペラハウスに来ていた 俺こんな場所は来慣れてないので緊張しているが 逆に軍関係者ばかりで来るまで緊張していたエレーナは 来慣れている場所のせいかオペラハウスに来た途端落ち着いている そのくせ少し緊張している俺に偉そうに館内の説明までする始末だ 「トロイ!!これこれ知ってる!?」 そう俺の袖を引っ張り階段を指差して 「トロイ知らないだろうから教えてあげるこれが階段って言うんだよ!」 馬鹿にしてるんだな、こいつ…そう思って少し機嫌が悪くなろうものなら 二人がかりでなだめてくる、それも暴力的にだ なのでこんな公の場所では絶対俺は機嫌を損なえない 「ふーん、そりゃ凄い」 乾いた反応をする、玄関ホールでそんな馬鹿なやり取りをしていると 今回の主賓とも言うべきお歴々の方々が続々とやってくる 正直俺はこの連中からは印象が悪い、それはこの体の方に原因があって 全部が全部俺の所為ではないんだが、正直暇があったからといって 好き勝手やってたのも事実で、その事が表面化したあたりから 余計に風当たりがきつくなったのも確かだ なのでここはさっさと退散しておくそう決断したら すぐさま双子の手を引っ張り二階へとあがっていく 間一髪だった、あと少しあの場でエレーナと馬鹿なことやってたら 何言われてた事か… 二階に上がると見知った男がいた、何とアーネストである しかも基地では散々茶化していた俺と同じ礼服を着ていた 「…」 つい言葉がつまってしまう、そりゃそうだ何でこんな前線指揮官丸出しの 軍曹になる為にだけに生まれてきたような男がこんな所にいるんだ 「黙るなよ…笑えよ…」 向こうも気まずそうにこっちの出方を伺ってくる…やり辛い 「貴方はトロイのお知り合いですの?」 そんな気まずい沈黙に助け舟を出してくれたのはサブリナの方だった 「ん?あ、ああそうだよ、あー…君は双子の…」 「サブリナ・ルドヴィングです、こっちは妹のゾフィーです」 エレーナはそうサブリナして挨拶し、ゾフィーを紹介する 「でもさ、なんでおじさん私達のことまで知ってるの?どっかであった?」 「ゾフィー!すみません…」 片方にぶしつけな質問をさせもう片方がそれを制す…エレーナの常套手段だな 聞きづらいことはこのような方法で聞き出してくる ましてや子どもだ油断してぽろっと口を滑らすも

第十七話 戦争までに 後編

 静寂が少しの間続き、ジークリットの呻き声がそれを破った よく見ると血も出ていない、ジークリットが倒れた付近を見ると 黒い粒が転がっている、粒の大きさは銃弾と同じぐらいで 拾って良く見るとそれはタイヤか何かの古いゴムを銃弾の形に削った物だった 器用な真似しやがる、後方が少し焦げているがこのゴムが破裂せず しっかりジークリットに当たってるあたり、火薬も少なめなんだろう 「新兵に先ずさせてる、痛みの訓練だ」 アーネストはそういうと回転式の拳銃の空薬莢を排莢し また新たに銃弾を装填し、蹲ってるジークリットの背中にまた全弾撃ち込んだ 「これは馬鹿な指揮官にする警告だ、ふざけた真似したら今度は実弾を使うぞとな」 そうして空になったカートリッジを排莢今度は… 「今度は実弾だ、痛い思いまでさせてなんだがお嬢さん、アンタが首を  突っ込もうとしてるのはこういう理不尽だ、不意に撃たれる  指揮官なんて部下の命を握ってるんだ、殺される覚悟もしてもらわないとな  でどうする?お嬢さま続けるかい?」 拳銃を弄びながらジークリットの方をじっと見ている 続けるか?と聞いているのはのはこの歓迎会のことだろうな まぁ部下の命云々はアーネストの逆鱗ともいえる部分で こんな少女の馬鹿な考えに対し、怒っているんだろう… 「大人しく帰れ、あんたの作戦もあんたもここには必要…」 そう言い切ろうとすると言葉の途中でジークリットが立ち上がった 腹部、背面部あわせてゴム性の模擬弾とはいえ12発も受けてうめき声程度な上 立ち上がるとは…根性なるなジークリット 「確かに、この痛みは初めての経験ですわ軍曹…ですがこんな痛みぐらいで  私尻尾を巻いて逃げるとアーネスト軍曹、貴方が思っていたとは…」 そういうとジークリットはヨロヨロと近づきアーネストの拳銃を彼の手ごと握り 銃口を自分の眉間に押し当てる、怒りに我を忘れているようにも見えるな その覚悟というにはヤケッパチな態度に対しアーネストに動揺はない 「何のつもりだ?」 もっともな質問だな 「私は、確かに世間知らずかもしれないけど、死ぬことを覚悟せずここに来たという  貴方のその“侮辱”は!許すわけにはいかないわ!」 やっぱ怒ってるようだな…だがこのままだと死ぬぞ…どうするよアーネスト 意地になって引き金引くか?それとも… 「フ…フハハハハハ!たいした肝っ玉だ謝るよアンタ

第十六話 戦争までに前編

 ギュンターとの衝撃的な別れのあと、俺とジークリットは別の列車の中にいた 「昨日何があったか聞くつもりはない…だが二日酔いとかは大丈夫なんだろうな?」 怒られると思ってずっと俯いてただけだったらしく 昨夜の件を不問にするといった途端に明るくなる にしても… 「ギュンターなんか性別が変わりそうな勢いでオネェ言葉になってたぞ」 「不問にふしてくれたんですよね!」 あのオネェ言葉が気になってついその事だけでも聞こうとすると今度は怒り出す 全く扱いづらい奴だな… 「それより少尉、今向ってるのって…」 「そうだブリニストより更に前線に位置する『クルムタン前進基地』に向ってる」 クルムタン…アルプトラオムの森の向こう側にあるそこを越えた先にある基地だ 今は列車だが次の駅からは馬車あるいは車になる 理由は言うまでも無くその先に線路が無いからだ 以前までは…少なくとも俺が後方に運ばれるまではそこには線路があったんだがな 今回は駅からは自動車を使う、今まではシティ向きの貧弱な車両で 山道を通っていたが、今回は山道仕様というのに乗れるらしい 森のなかで整備された複数の細道をランダムで通り森を抜けた先が クルムタン基地である…そしてその先へさらに進むとヘクサォに入り込み 相手の航空基地に対する牽制の為の前線基地がある 前線基地といっても塹壕やその中で作った掘っ立て小屋だ 相手の航空機のおかげで輸送路は無くなり細い道をなん往復もして 物資を運んでいる状態だ、その内戦線は瓦解するだろうな… そんなことを考えているとクルムタン前進基地に到着した 俺とジークリットは同乗した際に詰まれた荷物を出すのを迎えに来た兵士と一緒に 手伝うことにした、大きく長い箱と衣装ケース、この二つだ 長い箱の方は重量物で2人がかりで運んでいった 衣装ケースに関しては俺が…あれ? 「ジークリット…君、何も持ってないじゃないか」 何も手伝わないジークリットについ突っ込んでします 「だってみんな慌しいんですもの…あっと言うまに…そのケースだって  少尉一人で持ってるし…」 あー生活習慣の違いか、軍隊って目茶目茶しゃきしゃき動くからな ジークリットってのんびりしてる所あるから仕方ないっていやぁ仕方ないか そうなってくるとここは俺の秘策がものを言ってくるわけだな 「ジークリット君、君に重大なお話がある」 「なんです?それはそうと

第十五話 手記

 実はこの世界に来てから日記というか手記のような物を取っていたりする 最初は記憶喪失の体裁もあってか、とりあえずまたなった時の為に… なんて外向けの理由であったが、書いてみると面白いもので 考えを纏める時などに役に立つとわかりそれ以来時間があれば書いていたんだが ここ最近書けてなかったりする、最後に書いたのはいつだったかな そうか…3月3日辺りで書くのやめてたのか… 手記を久しぶりに見返して思い返す この日以来色々と出来事が加速していった 何の意味のなさそうなチラシの一文、これを書いた日以降忙しく書く機会が 中々なかったな、今までは暇すぎたと言うのがあるのだが まぁ見返しても成果がない時期も逆に書いてなかったり うろ覚えの死後の世界では覚えてる限りは書いてたりしてるが 体を得てからあの世界の話がアヤフヤになってきて まるで寝てたころに見た夢のようにも感じられるので、言った言葉に自信がない 俺自身半信半疑だったりする、どれだけ戦争すれば平和になれるかなんて… ともあれ、あれからもう二ヶ月は経ってるか…もう五月だな 一先ず書いて置かなければいけないことでも考えてみるか やはり例の爺さんの現役復帰だな、俺としてはそれが一番有難い話題だった 何より何も話してないのに俺の今回考えた作戦に気がついたりと 何かと厄介だったからな、それから…そう思って空いた時間に 手記を見ながら思案している所に例の声がする 「少尉さん!何読んでるの?」 例のクレマン君だ、まぁ彼女が気軽に来るということは 今いるのは例よって例の場所である、初めて彼女と逢って以来 何度となく顔を付き合わせた喫茶ラバンだ 「うーん、まぁ日記みたいな物かな?ほら私は一度記憶無くしてるだろ?だから」 「見せて!!」 いきなり人のもを取り上げようする 「ダーメ!プライバシーの侵害だ!!」 「何よプライバシーって」 「ほらなんか新聞であっただろ、個人の…プライベートの…!」 「私そんな新聞読まないし、解った私のだけ見せて!」 それが一番駄目! 「リューグナー少尉、こんな所にいた!ギュンター卿が探してましたよ!」 いい所にジークリットが来た、あれ以来彼は、ここで任務についており 形式上は俺は彼を補佐する任務についているのだが まぁ実際は秘密同盟を結んだギュンターの盟友である 俺の補佐を命じられてるのが本当のところだったりする 「

第十四話 1904年3月3日

 1904年3月3日 色々と合った諸準備がある程度形になろうとしていたころ 男か女といえば確実に女といわれるであろうジークリットはぷりぷり怒っていた 「少尉!軍人って人種は好きになれません!!」 このように命令文書をもって基地に行った後からそれ以来この調子だ 一応基地指令の手前では笑顔は崩さなかったが 基地を離れた途端に怒りを露にするんだが、いかんせん 可愛い怒り方なものだから手に余る 帰りのこの路面電車の中でもその子どもが機嫌を損ねたような 愛らしい怒り方は相変わらずで周りから変な目で見られてる… 「皆が皆、君を女扱いしたことなら言ってははなんだがいつものことじゃないか」 「違います!!」 何だ違うのか? 「だったら…!アレか!」 「そうアレです!!」 “アレ”とは、今回貴族の名を使ってこの魔術機関という名の小さな部署は 戦術諜報に関しての技術協力という名目で加わることになっていた 実際我が軍は変な突出の所為で兵站を伸ばしすぎ細い道を頼りに ギリギリ生かされているようなものである 向こうの戦略としてはこの小出し戦法をさせ続けこちらの一番大事な“人員”を 削り取っていこうという算段だ この基地より向こうは森が広がっていて敵の地上兵力の進行を遅らせることは 出来るが、同時に此方の輸送手段も限られていら その中で魔術なんて胡散臭い物に頼ってでも敵の情報集めたいそんな中 ジークリットは基地指令以下、将校連中の前で 「私、アドルフ・ジークリットの長男、ヴォルフガング・ジークリットに  この戦況を打開する妙案があります!!」 なんて言い出した訳で、でも身振り手振りが完全に男装した女の子のソレで 別に悪印象でもなかったし、あれ自体は緊張を解くいい演説だったと思うんだが 「でもまぁ、なんだっけ?戦列歩兵を使っては戦術的にはありえないが  その時代を生きたお歴々もいて妙に関心してたりして、魔術師に対する  警戒感みたいなものは取れてよかったと思うぞ」 そう何とかたしなめて見る 「重装甲戦列歩兵隊ですぅ~!!」 なんちゅう声を出すんだ 「解った解った、重装甲な!」 「はい…ぐすん…少尉はこの案駄目だと思いますか?、重装甲…」 出来れば俺としてはそれよりこっちのギュンターの書類の方を吟味したいのだが… 「そうだな、次の駅で降りてどこかの店でちゃんと聞かせてもらおうかな  基地ではその話

第十三話 戦争の目的

 魔法に関してはにっちもさっちもいかないので 早い所あの“爺さん”の所に行くか 俺はそう思い歩き出す、実は今いる喫茶からは思いのほか近く 正直あいつらがいる状態では居場所がばれて何されるか分かったモンじゃないからな 勘定を済ませた俺はそのまま向い通りから路地へと入る その先に小さな古いアパートがありそこの5階が目的の爺さんの部屋だ 実はクレマンより先にここで知り合った爺さんで、クレマンより現状の 俺には必要になるであろうそのじいさんとは 「クレイン・スタンバック“退役少将”おられますか?」 ノックを三回の後そう声をあげる そう退役とはついてるが少将だそして俺が読んでた戦術記録もこの爺さんのものだ たいした爺さんで今より昔の戦争になるが随分な知将であり猛将だったそうだ 戦場で左足を無くして以来は用兵学で教鞭振るっていたが 今回の戦争が勃発し現役への召還を望まれたが、頑なに拒否されて 同じく足を無くした俺がその交渉役に抜擢された訳だ 厭戦気分させないように、訴えたりしてる傍らで勉強してたのはそれだ 同じ“足欠け”同士何かこう…共感できるものがあるかというと 「アホみたいな声を出すな!さっさと入れ!」 うーんあるとは思えない感じ…もう結構長い付き合いになるのになぁ 「失礼します」 そういって入ると“質素”その言葉が思い浮かぶそんな感じの部屋が目に入る そんな部屋の窓際にテーブルがあり スタンバックが腰掛けている、俺はその向かい側に腰をかける 俺の席には冷めたお茶がいつもある 「遅れたお前が悪い」 お茶を見つめるたびその言葉が飛んできて最初は時間早めたりなんなら 予定日の前日に言ったりもしたがやはりさめたお茶が置かれているだけだった その真意が解ったというか察せれたのはそれから随分後の話だが それ以来はお茶に関しては気にならなくなった 「いえいえ、有難く頂きます」 それ以来のこのやり取りから雑談を始める クレマンとは違ったこの空気は何か俺の無くした部分を震わせるものがあるのか ハッキリとしないデジャヴュに襲われる いつもなら話題はこちらから振るのが定例で今回何から話そうかと考えていると 「首都はどうだった?」 珍しくスタンバックの方から話題が飛んできた、しかもそんなのどこから聞いた? と思わんばかりのだ 「どこで、聞かれたんです?」 素直に聞き返す、この爺さんに腹の探りあい

第十二話 戦術のススメ

 二日後、つまり昨日ギュンター邸から出発して丸二日たった 久しぶりのブリニスト、そこにあるカフェ『ラバン』 俺は以前と同じようにいつもの席でそこでコーヒーを飲みながら 以前とは違うことしていた 「…少尉さん久しぶりに顔を見せたと思ったらまた読…あら違う」 そうして、彼女、クレマンが顔を出すここ数ヶ月繰り返してた日常が 一応の形で戻ってきた 「トロイ、私とサブリナで書いた絵に何でこんな線引いてるの!?」 「…私達、何か悪いことしましたか!?こんな仕打ち…」 騒がしいのが俺の隣に座ってるって点をのぞけばまぁ 「あらあの時の可愛い芸人さんじゃない、今度は何やってるの?」 「「あー!あの時トロイをけしかけて逃げた人だ!」」 双子ことエレーナが声をあげる俺も色々あったせいで忘れていたが そんなこともあったな、まぁ俺気にしてないが…謝ってくれても良いんだけど 「そんなことあったっけ?覚えてないなぁ」 まぁ酔っ払ってたし覚えてないわな… 「それより少尉さんはその子達と一緒に何遊んでるんですか?ボードゲーム?」 まぁこれのことか、実はこれに関してはちょっと深い事情があった というのも、アレだけギュンターの前で色々大演説をのたまったが 戦略、戦術はさっぱりだったのでそこらへんを埋めるためにと 事前に持ってきたあの男の作戦計画立案書から学ぶ為にと 地図を購入し、その他細々した物を買って乗車し 車中では所謂“兵棋演習”をひたすら続けていたのだった そして嫌がるエレーナにここらの略図でいいから地図より少し細部まで書き込んだ 専用の地図を描かせて、3600個に区分してから今に至っている なんか丸一日かけて一生懸命描きましたって顔してから 言わない方がいいかなと思ったがやっぱこうなるか 「昨日からこれやってるの知ってるだろう、喚くんじゃない」 「「横暴だ!部屋に戻ったらいきなり絵を描かせて、こっちも疲れてたのに!!」」 うるさいやつだなぁ 「ねぇ、小さな子どもの絵に落書きしてまで少尉さんはないやってるの?」 こっちもマイペースだなぁ… 「まぁさっき君が言ったとおりのボードゲームさ」 「何で市販のゲームじゃ駄目なの?」 うーんまぁそう言われると返答に困るな… 「お姉ちゃん馬っ鹿じゃないそんなのグンジキミツに決まってるジャン」 「ゾフィーの言うとおりだと思いますわ」 何でこの左右の一人二役の人はケ

閑話休題回 あの人は今…

 ここは…どこだ…俺ぁ確かあのクソったれのヨハンとか言う糞餓鬼捕まって 懲罰部隊とか言う掃き溜めみたいな場所に連れて行かれて… 「死んだんやで自分」 「誰だ!?」 俺の足元にガキのオモチャみてーなのが明かりを持って歩いている 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 こいつは何を言ってるんだ?忘れる?俺は…そうトロイ・リューグナー… 後は…最後に捕まって…何で捕まったんだったか…そういや どっかに住んでた親子を殺して…そこの娘で遊んでて… その前は… 「おい!お前!ここはどこだ!?何で俺は何でここにいるんだ!?」 「死んだんやで自分」 なんだと!?糞それならここはあの世なのか… 「おい!ここはあの世なのか!?地獄なのかおい!」 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 またこれは…いい加減頭にきた… 「この糞がー!」 俺はその小さな糞ったれを殴ったり蹴ったりしたが まるでびくとのしねぇ 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 またこれだ!忘れろ忘れろってそんな忘れるわけ……俺は… 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 またこいつ、何か言い返して…何を言えばいい?? 俺は誰かに恨んで… 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 俺は…俺の名前は… 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 「そんなことより、さっさと死んだらはよう忘れて次の人生気張るんや」 あ…あ…あ…あ…あ… ・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・ ・・・ ・・ ・ 「やぁ、ビアヘロ元気かぁ?お前のオキニはどうしとる?」 「んー?おぅリョジャかぁ今帰り?」 「そうやで、柄の悪いおっちゃんを綺麗にしてきたところよ」 「これ見て?最近新品にした鏡を見てるんだが面白くやってるよアイツ」 「へぇー楽しくやってるジャン、良かったねいいなぁビアヘロは」 「何が?」 「面白い奴とばっか旅できて、この男もそうだしそいつの友達とか」 「ほっほっほ、そうだろ?リョジャも良い奴と旅が出来る日がくるさ」 「せやなぁ」 「あ、また誰か来たぞじゃなリョジャ、いってくる」 「はーい」 おしまい

第十一話 本心後編

 あー恥ずかしかった…まだ何もしてないのに 夢や希望を語るのは本当恥ずかしいもんだな、だが 意外だったのが、この男…いや俺の体か…トロイ・リューグナーって奴は どうも素行がよろしくないみたいだな、俺自身の顔なんて忘れたが ここ数日あった人間の印象が良くないようだ…まぁ変な反応をする奴もいたが 兎にも角にも腹を割って話したから完全な疑惑の目から半信半疑に持ってこれたが まぁ、奴が昔話をしたがるなら、エレーナの件もあるし聞く価値はあるだろう 「すまんが…」 「なんだ?今更命乞いでもしたくなったのか?」 おっと忘れてた相手は銃を持ってて、俺は撃ってもいいって言ってたんだったな 「いや、話を聞くだけなら、このソファー長いだろ?横になって聞いてても…」 「好きにしろ」 ふう、好きにさせてもらうさ、そう好きにな… 「まず、確認だがお前昨晩はあの双子から色々と話聞かされたんじゃないか?」 「まぁな、ヨハン君がお前の手柄を横取りしてるって話だ」 例の剽窃の話題から来てくれたのは有り難い、このままアイデア横取りにされて それを教えてもらえないまま殺されたんじゃ、あんまりだからな 「そのことに関してだがそれは彼女の勘違いだ、私には彼のようなアレンジ力は  無いし、そもそも分野が違う、彼の功績は彼のものだ  私とは違うジャンルの人間だ、彼は現実に生きて私は…」 「夢に生きてる?」 そう途絶えた言葉に付け足してやると、少し困った顔をしている 正直このギュンターという男、どんなに怒ろうが凄んだり怒鳴ったりと するタイプじゃないな、現にこの体の素性を知って俺に敵意をむき出しな感じで 話していたが、簡単にボロと言うか素が出てしまう そもそもが人を疑うタイプじゃないんだが、あの双子や友人なんかを守るため 必死だったって訳か…って俺自身そんなに調べきれてなかったが トロイってどんな男だったんだろうな…今夜生延びたら聞いてみるか 「…なので、“私の発案”を彼が剽窃しているというのは彼女の  勘違いだ、それと今回の君のアイデアに関しても言った所で彼は  笑うだろうさ…“ありえない”ってね彼はそういう男だ」 なるほど 「まぁ、私と彼の違いを理解させる為に教えただけだ」 鏡がないからわからないが、そう付け加えさせたくなる顔を俺はしていたらしい 「私がまだ十代の少年だったころ、2人の子どもとであった…」 …ヨ

第十話 本心前編

 ギュンター邸…私がこの家や“財産”を継いで数年が経った あの忌まわしい事故が私のあるべき道を一つ閉ざしてしまった その道は私にとってはとてもながらおいそれとは進むことが出来ない “真っ当な”道だったんだろうが、事故によって進まなくて良かったという安堵と 閉ざされたという後悔がこの数年を無為に費やしてしまった それは、周りの人間から心配の声を蔑む声に変えるには十分だった そんな時間で人間であった私はもう少しで死ぬはずだった そんな時、あの事故の残り香を漂わせるルドヴィングの双子が訪ねてきた あの男を連れて… 男の名は『トロイ・リューグナー』少尉、彼はヴィージマとのクォーターで その素行は劣悪で強盗殺人や強姦など重犯罪を繰り返すような男で 最前線へも犯罪者で構成された“懲罰部隊”としての出兵だった 最後の事件は一家を惨殺して、そこの一人娘を奴隷のように扱い 逮捕されるまでその娘は慰みものにされていたという それまでも気分やで、殺して奪うという蛮族を体現したような男だと聞く そんな男が送られた先は地雷原と砲弾の雨が降り注ぐ中を 突撃するという、体のいい犯罪者の処分と先端を開く切欠を作るという 無謀に近い命の浪費をする物だった だが、そのあと正規兵が懲罰部隊のあとを進軍しようとした時だった 懲罰部隊が開けた道に待ち伏せしていたヘクサォの部隊に待ち伏せされるのであった 敵も懲罰部隊を使って砲撃の着弾地点に待ち伏せさせていたのだ 足に枷をはめ逃げられないようにしてして、銃声と砲弾のなか多くの 兵士が倒れる中一人の男が奔走したという 男は倒れた味方を助け、そのまま敵の待ち伏せ部隊の塹壕に入り 近接戦闘でほぼ無力化したそうだ その男の名が、トロイ・リューグナーだった 彼の功績は凄まじい物だったが、元が懲罰部隊だったのと 戦闘の被害を見ても確実に見殺しにされるはずだったが そのとき指揮を執っていた前線の将校がその獅子奮迅の活躍をみて 彼を救助したのであった その後、トロイはやはりというべきか軍法会議で処刑という形になっていた だが、それに対し8名の士官からの助命の嘆願が来たのと “ある人”からの思惑もあり、プロパガンダという使い道になった これは兵士の消耗が激しかったのと、上級将校の戦術ミスや 死んだ兵士が若かったこともあって、一番反感が出ると思われた ブリニストの市民感情を落ち着

第九話 プレゼンテーション

 ジークリットからの授業を終え 所用を済ませて帰ってきたギュンターの案内で 小さな会議室に通された そこには6名の研究者たちが先に席についていた 今回の名目であるが発起人はあくまでギュンターで 俺はそのプレゼンを受けるという形となったという形だ つまり、本来とは逆の形だ ジークリットもギュンターの発案を理解し安くする為の要員 そういう説明をされてきた これは俺の発案で今朝の食事のときにギュンターに確認を取ったものだった 彼には自分の立場と出自考えての事だつまり俺の方からこんな事持ちかけた 表立っては、軍人からこんな話すると説明が面倒だし 前線の元二等兵でお飾りで昇級したようなものが言うよりよっぽど 説得力があると、ギュンターは少しいやそうな顔をしていたが 何とか了承してくれた、俺が専門家を前に熱弁するのは一回で十分だし ジークリットから受けた授業を聞いた限りは俺は部外者で “俺”が説得される方向性でみんなを協力させるというなんとも不思議な 形をとることにした ギュンターの初見の印象は大層頼りない顔をした優男であったが 俺の話を聞いてからは目つきが変わり ここに来てから更にいい目になってるな… 俺の姿を見ると研究…いや魔術師だろう彼らは明らかに緊張をしていた ここで俺のなかで一つわかったことがあった 俺が講義を受けてる間、彼らに今回の計画を説明してたんだろう 何が別件を失念してだ、全く こうして俺に対して俺が発案した計画のプレゼンがはじまった 正直6人全ての名前と顔を覚えきることは出来なかったが 思いがけない自体が起きた、昨日の今日で俺の杜撰な計画内容が ブラッシュアップされていたのだ、明らかに専門家の意見が入ってるんだろう 魔術面と言う意味では付け焼刃ではあるが ジークリットの講義が十分役に立った 彼らが言ってることはちんぷんかんぷんであったが 言いたい事は十二分に伝わった ギュンターめ何がオチこぼれだ全く、あとで一言いってやらなければ 一通りのプレゼンが終わった、何よりあくまで浮いた木の板を見て思いついた 計画とも言えないアイデアに対して、かなり考え込まれていた だがこれでもまだ足らないあくまでこれは実用が可能かどうかの話で 肝心な“戦術面”が抜け落ちてる正直俺はそっちのセンスが無い だからといって引っ込むつもりも無いが 出来ないなら出来る者を探すだけだ、しかしこ

第八話 魔術史授業

 魔術…物語では魔女や魔法使いが使うこの術はかつてこの地上に実在した 魔術を知るにはまず歴史を知る必要があるという これは、ギュンターもヨハンもそう教わったそうだ “知は力となる”魔術が家系で引き継がれていくにはこういう 知識を継続させていく環境が必要なのだそうだ 魔術における大原則は“学び知り実践し考察する”という その工程を継続させる為に今存在する魔術師の家系のなどは 名家と縁結びをしていったりして貴族という隠れ蓑を手に入れたという 話も有るらしい、ギュンターもその口なんだろうか 話がそれたな、話を戻そう かつてこの地上に魔法は存在していたしかし残念ながらそれが一体どんな物かは 未だよくわかっていない 同じように、昔この地上には竜や人狼、妖精といった御伽話にでてくる モンスターといわれるものも実在したと魔術師たちはそう考えている 人類学や歴史学、考古学が発達していっている現在では その全ては否定されていっている、しかしそれでも“魔”に関わる者は 自らの研究を肯定しなければならない そうしなければ研究が死んでしまうからだ、継続できないだけではなく 信仰心にも似た“何か”が必要なのだなのでこれから語る大半が 非現実的だとしても、現在の科学水準や知識に当てはめて考えないでほしいと ジークリットはそう前置いて話を進める 今から約一万年前、架空とされる幻獣が生きていたとされる時代があった その頃には魔法と呼ばれるものはなく、人は幻獣とその土地や動物を取り合っていた その頃の記述はいくつか発掘されていてそのいくつかは魔術師の宝物になっている 人間は生存をかけた戦いを強いられていて、組織だった戦いに発展していく そう“戦争”となる、人間はそれを“神殺し”の戦いと位置づけ 狩りではない明確に相手を殺し併呑する殲滅戦争を行う この“神殺し”の結果、神の血が大地に染込みそれが この大地そのものが神の命が染込んだ呪物となり その呪物の力を利用したのが魔法の始まりだと考えられている 未だ研究中でハッキリとした魔法の姿は判明していないが その魔法によって人類を発展させていった、実際過去の遺跡を探れば 通常の学問では計り知れない数々の遺跡が発見されている それは魔法と言うものが実在した証だと、現存している魔術師は確信している その栄華は今の暦が始まったころまで続いたとされる 今から約200

第七話 過去の話と…翌朝の出来事

 午前0時…もう今まで今日だった日は昨日となった頃 したくも無い豹変した双子の接待をする為 二階にある双子の部屋に来ることになった 「…トロイさん、あの人と一体どんな話をしてたんです?」 「込み入ったとか言ってたけどさ、一体何なの?」 「一応軍事機密って感じだから言えんな」 「私たちの出し物見て思いついた、ちゃちな思いつきで?」 「…ばぁっかじゃない?そんな思い付きが軍事機密なわけ?」 「そこを突かれると痛いけど、そういうことだな」 その言葉を聞くと2人は目の前で内緒話を始める それも1、2分ぐらいで終わり、双子はまっすぐ俺の方を向いて言葉を放つ 「「ヨハンとはどんな関係なの?」」 ハモったその言葉には感情は無く、いや憎悪の暗い何かはあるのか 目からも光がうせ、子どもの癖にエライ殺気立っている様に思える 「今日あったばっかの少佐さんさ…」 まぁ嘘はついてないが、どうも軍属と言うこともあってか少佐と俺の関係を 疑っているようだ、こいつらはあの少佐が嫌いらしいからな 「「本当に?でもあっちは『嘘』ついてたわよ」」 何の話だ?向こうが嘘ってどこをだ?まぁ不用意なことを言った等の 簡単な授業を受けたりもしたが… 「「あのヨハンに、スクラップ記事作成なんて趣味無いのに」」 新聞…確かにスクラップブックの趣味がって言ってたが…それが嘘? 「「彼方の昇進の件も含めてなんで新聞って言ったの?」」 確かにそうだったな…俺としたことがあの可能性をうっかり見落としてた 奴だクレマンにしてもそうだが近づく奴みな疑うべきだというのは 解っちゃいるが、私的優先事項が多すぎてつい失念してしまうし 何より“奴”が同郷にいてどうやって戦争しろってんだよ でもあの少佐…どこと無く疑ってしまったな ギュンターの友人らしいが…いや一から人生やり直してたら ここでの自然な交友関係も出来るか… 会った時には胡散臭い奴ぐらいには思っていたからつい詮索を入れてしまったが …不用意…詮索を入れすぎて逆に疑われたか? 『でも、前線で銃を握るより貴方にはもっと向いた仕事があるのだ  …と私の上司との会話の肴に貴方のことを出しておきましょうか』 これもついいいように捉えたが、少佐が“奴”でなくとも上司が“奴”なら… そもそも同じ国にいるなんて考えてなかったんだもん…あのへんな生き物め… そうかありえるのか…そういうことも